最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)4523 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人小林為太郎の上告趣意について。
憲法は勤労者に対し団結権、団体交渉権その他の団体行動権を保障すると共に、
すべての国民に対して平等権、自由権、財産権等の基本的人権を保障しているので
あつて、これ等諸々の基本的人権が労働者の争議権の無制限な行使の前に悉く排除
されることを認めているのでもなく、後者が前者に対して絶対的優位を有すること
を認めているのでもないこと及び或る行為に出でることが目的として正しいとして
も、それだけでその目的を達成する為めの手段がすべて正当化されるわけではなく、
その手段は秩序を守りつつ、個人の自由や権利を侵さないように行われなければな
らないものであることは、いずれも、当裁判所大法廷の判例に示されているとおり
である(昭和二三年(れ)第一〇四九号同二五年一一月一五日大法廷判決、判例集
四巻一一号二二五七頁、同二四年(れ)第一六〇一号同二五年一〇月一一日大法廷
判決、判例集四巻一〇号二〇二一頁参照)。したがつて、原判決が、被告人等の本
件行為は、たとい、それがいわゆる団体交渉権行使の目的に出でたものであつたと
しても、明らかに、その正当な権利行使の限界を逸脱した違法なものとして、これ
に不退去罪暴行罪の成立を認めたのは正当であり、囲体交渉権の行使が無制限に許
容さるべきことを前提とする所論の採用し難いことは多言を要しない。
なお、記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由があるとは認
められない。
よつて刑訴四〇八条に則り、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。
昭和二八年六月一二日
最高裁判所第二小法廷
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裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
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